脳梗塞の新しい治療法
rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法について
脳梗塞とは?

 脳卒中には脳血管に血栓が詰まる「脳梗塞」、脳血管が切れる「脳出血」、脳
血管にできたコブ(脳動脈瘤)が破れて出血する「くも膜下出血」の3つのタ
イプがあります。その中でも最も多いのが「脳梗塞」で約70%を占めます。

これまでの脳梗塞の治療
 2005年10月にrt-PA静注療法が日本でも行えるようになりましたが、
それ以前はrt-PA静注療法と比べると効果の弱い治療法しかありませんでした。
それらは主に点滴治療で、大きく分けると2つの目的があります。
① 抗血小板療法:血栓を作る働きを持つ血小板の機能を抑えて、血液の流れを
改善する目的で投与します。
② 脳保護療法:脳神経細胞の障害の進行を抑える目的で投与します。
その他、抗凝固療法や抗脳浮腫療法などがあり、患者さんの状態に応じて使い
分けます。しかしいずれも脳梗塞再発防止や症状進行防止、合併症対策が目的
であり、脳梗塞になってしまった脳を回復する効果はありません。
 

rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法
 ではrt-PA静注療法とはどのような治療法でしょうか?一言でいうと、脳血
管に詰まった血栓を溶かしてしまう薬で、詰まった血管を短時間のうちに再開
通することで脳梗塞から救うことのできる効果の高い治療法です。
副作用についてはどうなのでしょうか?rt-PA静注療法で最大の副作用は出
血です。特に脳内出血を起こす確率は、rt-PA静注療法を行わない場合に比べて
3〜10倍といわれており、このような出血合併症を防ぐため、治療に際し様々
な条件が厳しく決められています。2005年発売当初は「発症3時間以内に治療
を開始すること」が大前提でしたが、2012年9月「発症4.5時間以内」まで使
用可能となりました
しかし診察や画像診断、血液検査などに要する時間を考
えると、遅くとも発症3.5時間以内に病院を受診しなければ間に合いません。
その他にも脳梗塞重症度や既往歴、血液検査などの条件を満たす必要がありま
す。このように患者さんすべてがrt-PA静注療法を受けられるわけではなく、
治療を行っても血栓が溶けずに脳梗塞になってしまう患者さんもいます。しか
し、従来の治療法に比べて後遺症が軽く済んだり、後遺症なく退院できる患者
さんは確実に増え、rt-PA静注療法の恩恵を受けているのは事実です。

当院でrt-PA治療を行った症例を紹介
60歳代の男性で突然言語障害と右運動麻痺が出現し、発症から1時間で救急
搬送されました。MRIでは太い血管(矢印)が詰まっていましたが、rt-PA静注
療法を行ったところ詰まった血管は再開通し、言語障害と右運動麻痺は改善し
後遺症なく退院されました。
rt-PA静注療法前 rt-PA静注療法後

このようにrt-PA静注療法は脳梗塞に対して非常に有効な治療法で、治療時間
が早ければ早いほど効果が高いと言われています。しかし発症から時間が経つ
とともに出血などの合併症が増えることも分かっています。

脳梗塞を疑う症状が出たらすぐに専門病院を受診したり、救急車を呼ぶなど迅
速な対応が必要です。

医療法人円会 瀬口脳神経外科病院
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